身の置き所のないだるさ
個室のピンクのカーテンを開けた
「終わりだ、終わり」
「もう、終わり」
脳梗塞+体力低下で小さな声しかでないパピィ
そのパピィが大きめの声で繰り返し言う
「頑張った、パピィ頑張ったよ」
一足先に面会に来たママ吉
パピィのむくんだ黄色い手を握り、涙ぐんでいる
パピィは腕を上に万歳ポーズをとったり
麻痺気味の足をもぞもぞさせたり・・・
昨日から、倦怠感が強くなった様子
ぴょこが部屋に着くなり
ベッドの上げ下げをいろいろするように指示する
-これでどう?
「どうって言われてもわかんないよ」
「しばらくやってみないとわかんない」
体位交換用の抱き枕の位置を変えたり何なり・・・
足裏のマッサージをするとようやく落ち着いた
「身の置き所がないみたいです・・・」
バイタルチェックにきた看護師さんが言った
「パピィさん、痛いところあったら言ってくださいね」
点滴部分の腕を確認しながら問うも
「痛くない」
パピィはそうヒトコト答えるのみ
-え?
痛かったら、ちゃんと言いなよ
そう言っても、目をギュッとつむって首を横に振る
終末期のがん患者の苦痛についてググったところ
予後が2か月切る頃に出現する症状が表になっていた
赤字は、パピィに見られる症状
紫字は、時々/又はあると思われる症状
表 1 がん患者の苦痛症状(死の 2ヶ月前)
● 痛み → 50%(2 人に 1 人は痛い!)
● 全身倦怠感 → 10%以下
● 食欲不振 → 10%程度
● 便秘 → 10%程度
● 不眠 → 10%以下
● 呼吸困難 → 10%以下
● 嘔気・嘔吐 → 10%以下
● 歩行困難 → 10%以下
● せん妄(混乱) → 10%以下
● 腹水 → 10%以下
● 浮腫
表 2 がん患者の苦痛症状(死の 2 週間前)
● 痛み → 70%(約 4 人に 1 人は痛くない!)
● 全身倦怠感 → 90%以上!(ほとんどがしんどい)
● 食欲不振 → 90%以上!(ほとんどが食欲ない)
● 便秘 → 75%
● 不眠 → 60%
● 呼吸困難 → 50%
● 嘔気・嘔吐 → 50%
● 歩行困難 → 25%
● せん妄(混乱) → 25%
● 腹水 → 25%
● 浮腫
・・・ほとんど当てはまる
便秘:今日は便が出ない、と苦悶の表情を見せた
昨日から飲食してないから、出るものもないだろう
ただ、いつも布団をめくるとオナラみたいな独特の臭いはする
腹水:ぽんぽこりんって程ではないが
えぐれるほど細かったのに、それが普通サイズに張っている
浮腫:両手の肘から先と足首から下は黄色くむくんでいる
触るとひんやり冷たく、しっとり湿ってるカンジ
そして、予後が数日になった時
「身の置き所がない」という表現をするみたいで・・・
「痛いと訴えるが局在がはっきりとせず,身の置き所のなさが『痛い』という表現」で示されたり,「せわしなく体を動かされたり,足が重だるく感じて看護者が動かすのを希望されたりというような表現」を取ったりする場合です.
私はこの「身の置き所のなさ」を表現する 2 大客観的表現形式に,「苦しい顔である(=苦顔)」「多い体動」が挙げられると思います.
引用元:http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse1709.pdf
・・・うん
しかめっ面した『苦顔』と、『多い体動』
両方ある
この時期必要なのは、「鎮静」とある
「痛かったら言ってくださいね」
そう、看護師さんは声かけてくれるけれど
パピィは「痛くない」「大丈夫」と答えるのみ
もしかしたら、パピィ
痛いけれど、鎮痛/鎮静によって意識レベルが下がるのが
イヤなのかなぁ
そばにいても
身の回りを整えたり
マッサージする事しかできず・・・
たったひとりで闘うパピィを
ただみつめる日々
ツラい ツラいなぁ