紫陽花が色づき始め
西側の出窓に這わせたヤマホロシの葉の勢いが増している
「コロナで法務局も閉まっていましたが
無事登記も済みました
あとは箱一杯の書類の返還と清算書を送りますので・・・」
弁護士さんがよどみなく電話口で話す
パピィの死亡関連手続きもやっと終わりが見えてきた
🌿🌿🌿
去年の6月2日㈰はパピィが救急搬送された日
そして、すぐ1か月の余命宣告をされた
トイレでお尻が拭けない+立てなくなったパピィ71歳
当時、先代の相続問題が未解決で弁護士さんに依頼中
しかもパピィが売主として不動産売買契約を進めている最中だったため
弁護士さんは真っ青
病室には連日いろんな関係者が出入りし
パピィは動かない右手をママ吉に支えてもらい
次々書類にサインをしていた
リビングニーズを申請したため
生命保険会社の人たちも数回来訪
また、パピィは現役会社員だったため
給与受取やらお見舞いやら何やら
社長さんはじめ、会社関係の方も週1~2回来てくださっていた
死の準備をしたり
現実の問題に向き合ったり何なり
本人・家族、毎日目いっぱいだった
「おちおち療養してらんないよ」
パピィはブツブツ言っていたが
相続問題を2度決裂したまま
ママ吉が無料法律相談に行ったのに繋げず
放置していたジブンも悪いよな
🌿🌿🌿
去年の手帳を読み返す
6月は真っ黒に書き込まれている
パラパラめくると
不動産会社や司法書士、税理士さんの名刺がどさっと落ちてきた
メモを見ると
鮮やかな映像が浮かび
声まで再現されてきそうなのだが
普段はどこかに仕舞い込まれているらしい
パピィは死んだ
悲しいけれど
理解しているし、受け入れられたと思う
亡くなって数カ月は深夜に
”パピィ、終電逃したんじゃない?”
”お風呂にまだ入ってなくない?”
なんて勘違いしたこともあったが
今はもうない
しかしながら
入院していた病院行きのバスを見たとき
駅までの道のりでパピィが腰かけていた場所を見たとき
パピィに似た背格好の人を見かけたとき
未だ1秒ほど
ジブンの中の時が止まってしまう
それは、しばらく続きそうだな