痛み、苦痛、不安からの解放
19:15
ママ吉とぴょこ、病院より帰宅
明日、早朝病院へ行く準備をする
20:45
ママ吉が入浴すませ、寝た後に
病院で泊まり込んでいるオトウト吉からLINEが
「ぴょこにしか送らないけれど、血圧も今までで一番低いのがでた」
「いつ、急変してもおかしくない
早く明日の準備をして寝てね」
「吸引したけれど、痰は全く出ず
呼吸が苦しくなってきたから、酸素レベル5(5L?)に上げた」
「吸引は鼻の両穴から棒を入れていじいじ
口からもいじいじです」(どんな表現だ・・・)
「苦しそうな顔や呼吸になったら、看護師さんを呼ぶことになってる」
「ほぼ、赤アラーム鳴りっぱなし」
21:30
隣の部屋で寝ているママ吉に伝えるか迷ったが
-血圧の上が70台に戻った
-オトウト吉もこれから寝る
という事だったので止めといた
21:49
「血圧はあれから計っていないよ」
ぴょことオトウト吉のラインはここで終わっている
これから、旅立ちまで
ぴょこにとり1時間強の静寂な時間となった
パピィの顔、酸素のポコポコ、アラーム音
死んだらどうするか
いろんなことが頭に浮かんだりして
ベッドに横になるも、眠れない
その頃、病院では看護師さんが10~30分ごとに見回り
パピィの様子を見ながら吸引や処置をしてくださったようだ
23:00すぎ
ママ吉部屋から殺気立った声が聞こえた
「何?はっきり言ってよ!え?」
「ママも、行かなきゃダメ?」
ママ吉は混乱している様子だった
看護師さんが、パピィのモニター数値の異常を発見
当直医師が駆けつけたよう
”あー、数字がだんだんなくなるよー”
電話越し、涙声のオトウト吉の声
ココで一旦電話は切れた
身支度を始めるママ吉とぴょこ
再び、オトウト吉から電話
「パピィ、23:07だって・・・」
苦しむこともなく
すーっと眠るような
自然なサイゴだったそう
オトウト吉は駆けつけた当直医に聞かれた
「延命治療は希望しますか?」
断ったそうな
賛成
パピィは突然死でも事故でもなく・・・
短いけれど、がんと闘ってきたもん
安らかにいかせてあげたい
家族は死を受け入れる心構えができていたってことになるのかな
いや、71歳じゃ若いけどさ
23:45
ママ吉とぴょこは、薄暗く静まりかえった病棟へ
パピィ部屋からは明かりが漏れてる
急変の知らせで今朝は走って向かったけれど
もう、パピィはいない
静かに深呼吸をして向かう
パピィを囲んで、看護師さんとオトウト吉がいた
看護師さんは、パピィの顔に薄化粧を施している最中だった
上下キレイなパジャマに着替えたパピィ
昨日、ぴょこが寝ているパピィの髪をバリカンで切り
4枚刃で念入りにひげを剃ったばかり
こざっばりしてとても長く闘病していた風には見えん
パピィの手が胸元で組まれている
「パピィ・・・まだ、温かいや」
ママ吉に促され、ぴょこも触る
ホントだ、ほんのり温かい・・・
寝ているみたい
看護師さんは深々頭を下げていった
「すっーと深い眠りに入っていくような
穏やかな最期でした・・・」
良かった
痛みや苦しみ、倦怠感から解放されたね
この1週間で、ガクンと衰えた
特に、死の6~5日前は辛そうだった
”身の置き所のないツラさ”と表現するみたいで
「終わり。終わり。もう、終わり。」
パピィは大きな声で唸っていた
3日前にはポツリ
「早く、自宅へ帰りたい」とも
早く終わりにしたい
この苦しみから解放され、安心できる場所へ行きたい
そういう意味だったかもしれん
パピィ、安らかになれたね
ありがとう
あ、そうだ
ママ吉、オトウト吉、ぴょこはナミダが滲んだけれど
「アナタァー」「トーサーン」
ドラマのように、ナキガラの上に覆いかぶさったり
泣き崩れたりはしなかったな
手にそっとふれて
「パピィ、今までありがとう」
そう言ったのみ
あん時、帰んなきゃ看取れたなー
もっと優しくしてあげればよかった
がん発覚前に気づいてあげられなかった・・・
いろんな反省は浮かんでくるけれど
いろんな想いを凝縮して
サイゴに出てくるのはこの言葉になるもんだな
「ありがとう」